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項目 基本的な考え方 チェックポイント 目安
微生物 堆肥化の主役は微生物だが、家畜の糞には十分にいる。
堆肥化に役立つ微生物は空気を好む微生物(好気性微生物)で、家畜糞の中には多種類、大量にいるので新たに添加する必要は無いが、微生物が増殖しやすい環境を作ることが大切である。
堆肥化の促進や悪臭防除のために戻し堆肥を活用すると効果的で経済的である。
○戻し堆肥を利用しているか? ○副資材購入費の削減、発酵促進などの効果がある。
△腐っていないか臭いを嗅いでみる。 △良い発酵の時はアンモニア主体で比較的単純な刺激臭。嫌気性発酵すると不快感が高い腐敗臭となる。
栄養 微生物にはバランスの取れた栄養が必要である。
微生物は人間と同じ生き物なので栄養分として炭素と窒素が必要である。
炭素(C=エネルギー源、人では炭水化物)
窒素(N=微生物の体を作る栄養、人ではたんぱく質)
◎新しい糞を使用しているか。 ◎生糞のまま長期間放置したものは分解し易い栄養分が嫌気発酵し栄養が不足する。
△C/N比(炭素率)を測る。 △25〜30が望ましい。家畜糞は8〜20(牛糞は16程度)で栄養は十分にある。
空気 微生物が呼吸するための空気(酸素)を
供給することが大切である。
堆肥の中に空気の入るスキマを作り、外部から十分な空気を送ることが大切である。そのためにはオガクズなどの副資材を混合してスキマを作るとともに切返しや強制換気して多くの空気を送り込む。
◎容積重(通気性)を測定する。 ◎堆肥原料を10Lバケツに力を加えないで入れ5kgに近くなるように調整する。
◎攪拌または切返しをしているか。 ◎堆肥舎⇒月に1回以上、堆積初期は15〜20日に1回が望ましい。
◎攪拌器がある場合⇒1日1〜2回
○堆積高に注意する。 ○高さが2m以上になると通気性が悪くなり、発酵にムラがでる。
△強制通気をしているか。 △処理期間の短縮などの効果がある。通気量は50〜300L/分・m2が目安である。
水分 水分は微生物の増殖に大きな影響を与える。
高水分の状態では好気性微生物に空気が供給されなくなり堆肥は発酵しないし、低水分になっても乾燥状態となり微生物は増殖ができなくなる。堆肥化がうまくいかない原因の大部分はこの水分調整にある。副資材・戻し堆肥の添加やハウス乾燥で適正\な水分含量にする事が大切である。牛の生糞には80%〜90%の水分含量があるので、70%以下に調整する。
◎均一に混合されているか。 ◎水分のムラをなくすと共に糞塊を小さくするために行う。
◎水分を測定する。 ◎通気性の良くなるように水分を55〜65%(牛は65〜70%)に調整する。
◎水分調整を確実に実施しているか。 ◎オガクズ等の副資材の添加やハウス乾燥で水分を減らす。
◎畜舎での糞尿分離に努める。
温度 発酵がうまく行っている時は順調に温度が上がる。
微生物の発酵により熱が発生し温度は上昇するので、特に、加温の必要はないが、堆積高が低かったり、過度の攪拌や冬季には発酵が遅れるので、太陽熱の利用や保温に努める。
◎堆肥の温度を測定する。 ◎病原菌や種子を死滅させるには60℃以上を数日間維持させる。
○堆積高に注意する。 ○保温性を高めるため、60cm以上とする。
○太陽熱利用や保温対策をしているか。 ○屋根材にFRPなどの樹脂板を使用すると共に保温対策に努める。
期間 良質な完熟堆肥を作るための期間(時間)が必要である。
農作物にやさしい完熟堆肥を作るにはどうしても期間がかかる。微生物が有機物を分解していると堆肥温度が気温より高い状態になっている。切返しても温度が上がらなくなるまで発酵させる。
○副資材の種類により堆積期間を調整しているか? ○堆積期間の目安
家畜糞のみ⇒2ヵ月
稲ワラなどを混合⇒3ヵ月
オガクズなど木質資材を混合⇒6ヵ月
注)◎は非常に重要、○はやや重要、△は実施することが望ましいものである。



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