温見地域畜産振興会 豊後大野市朝地町温見 |
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■経営の概要 |
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1)自然条件 温見地域畜産振興会のある朝地町は平成17年3月31日に7町村が合併した豊後大野市の北側に位置しており、大分県では西南部に位置し、標高300mから750mの山地丘陵地帯である。気象条件は、比較的温暖な南海型気候区に属しているが、1月平均気温3.5度、8月平均気温24.5度程度で、寒暖の差は激しい。年間降水量は1,733oで、特に梅雨時期と8〜9月の台風シーズンに雨量が集中している。阿蘇火山灰土系で褐色または黒色火山灰土であり、水利は高地であるため非常に悪い。 2)経済的条件・社会的条件 @産 業 朝地町の総面積は68.39ku、耕地面積898ha、総人口は3,522人、世帯数1,250戸。産業別就労状況は総数1,858人のうち第1次産業705人、第2次産業378人、第3次産業774人と第1次産業が38%を占める。総農家戸数は595戸で販売農家は460戸、自給的農家は135戸であり、農業の就業人口は708人で基幹的農業従事者数は589人で65歳以上は67.5%と高齢化が多い。 農業産出額は13億円で、うち耕種は7億2千万円、畜産は5億7千万円である。肉用牛は3億9千万円で30%を占め、米に続き第2位である。林産物である椎茸の産出額は2億5千万円(推定)である。 A交 通 町内には国道57号を主幹に、県道大分竹田線が中心部から当地域の中心を抜けて大分市へ、県道朝地線が中心部から直入町に通じ、それらが定期バスの路線となっている。また、JR豊肥線の朝地駅があり、大分市へは1時間程度である。経済圏は竹田市経済圏である。 B文化、生活 西日本仏教文化の中心として栄えた国宝神角寺は当集団地域内にあり、大分県最大の磨崖仏のある普光寺等、古代文化の遺跡が多い。また、町民が誇る世界的な彫刻家「朝倉文夫」を生んだ町で、その遺作の記念館があることから訪問者も多い。 C温見地域の概要 温見地域は、梨原(なしはる)、志屋(しや)、温見(ぬくみ)、小川野(おがわの)、鳥屋(とや)の5集落からなり、総戸数144戸のうち農家数81戸、農業就業人口は148名であり、専業農家は29戸、認定農業者数は26人となっている。 |
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■地域畜産振興活動の内容 |
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(1)地域畜産振興につながる活動・取り組みの具体的な内容 @温見地域畜産振興会の概要 朝地町の温見地域は、標高500m〜650mの準高冷地で広大な山林原野を有するものの急傾斜が多い。現在の耕地面積は田52ha、畑60ha、樹園地5haであり、昭和20年頃は水田、畑は山林原野の谷間や交錯する中間値に点在し、狭い棚田となっているため、労働生産性は極めて低い状況であった。 当時の営農は、米、実取りトウモロコシを中心に木炭生産、繁殖和牛(肉用牛)1〜2頭を組み合わせたものであった。収穫を目前にしながら、イノシシやカラスの被害を受け、労働の割には生産性が上がらず、非常に貧しい生活を送らざるを得なかった。 このような状況を脱するにはどうすれば良いか、当時の地域代表であった大野郡畜産農業協同組合の理事が、地域内の各集落の代表者に呼びかけ、農業研究グループを作った。 ちょうどその頃、昭和30年1月1日に町村合併により朝地町が誕生し、町の産業には農業振興を重点におき、特に肉用牛と新しい作物として椎茸を取り上げた。 具体的な方策は地域の立地条件を生かした放牧による肉用牛の多頭化と、自然条件を生かした椎茸栽培で経営改善を図ることであった。農協理事は畜産グループの結成を働きかけ、地域住民の多くの協力を得て「温見地域畜産振興会」を設立した。 現在では、肉用牛繁殖経営と椎茸の複合経営が、原木材の下草利用という点で共存が成立し、集団の和の力で独自の複合経営を確立し、地域営農基盤の基本となっている。この営農形態は引き継がれ、会員の共存意識、互助精神に支えられた協調性の強い集団と成長した。現在の会員は当時の畜産振興会会員の後継者24名であり、各会員が地域活性化の核となっている。特に畜産青年部のメンバーは家業の振興と併せ、郷土文化の神楽の保存や産地直売所(名称:里の駅やすらぎ交差点)の経営運営にも取り組んでおり、温見地域の振興・活性化の中核的存在となっている。 地域が現在に至るまでの取り組みについて、以下に紹介したい。 ○ 温見地域畜産振興会の概要
A増頭への取り組み 昭和36年頃、農業近代化資金制度ができて有利な資金が得られるようになったことから、集団で導入し、昭和39年には肉用牛増殖基地育成事業の指定を受け、牛衝場と枠場を設置し、県有牛40頭を借り受けて一挙に増殖を行った。これを契機に肉用牛集約生産基地育成事業による畜舎、付帯施設の設置や肉用牛等導入事業、県の自家育成保留事業にも積極的に取り組み徐々に規模拡大を行っている。 現在では、温見地域畜産振興会では当面の目標を繁殖雌牛500頭(1戸あたり20頭)とし所得向上を目標とした規模拡大運動を実施しており、これまで以上の肉用牛生産団地となるよう取り組んでいる。 現状は1戸あたり19頭であり、目標達成に近づいている。大規模農家については豊後大野市の繁殖雌牛50頭以上規模農家8戸のうち3戸が温見地域にあり、うち1戸(繁殖雌牛75頭規模)が平成17年度大分県農業賞企業的農家の部で最優秀賞(県知事賞)を受賞している。 B林間放牧の取り組み 省力化をねらいとして椎茸の原木となるクヌギ林へ放牧するようになった。そのため、放牧場の条件整備が急務となり、昭和40年には小規模草地改良事業で10haの草地改良を行い、昭和42年〜44年と継続して、草資源維持管理事業や農業構造改善事業で草地改良、牧柵設置、給水施設等放牧飼養体系を整え、共同利用の牧野開発を行った。 このねらいは、肉用牛側からの利点として@放牧における労力の低減、飼料費の節減A適度の日陰があり、草も柔らかく適度の運動をするために健康管理がよく、受胎率が向上し生産性が上がる。一方、椎茸栽培側からの利点として@原木林の下刈りを牛の舌刈で行うため、労力の節減が大きいA原木林が常に清掃された状態にあるため、原木に害虫の発生寄生がなく、欠株を生せず生産性が高いB牛糞の還元で原木林の発育が良く、伐採回帰が短縮されることにある。 飼養管理方式は夏山冬里方式で、牛の健康と受胎率の向上に力点を置いた。当時からすれば、非常に活気的なことであった。ところが、放牧に不慣れの牛が多かったため、放牧特有のピロプラズマ病(ダニ熱)で死亡する牛が続出し、結果は散々であり、これを機に牛飼いを廃業する農家もあった。振興会は事後処理に奔走しながら、改善策を研究した。草地改良やダニ駆除を行い、免疫のない牛には予防注射をするなど決め、実行した。その後は重大な事故もなく、飼養頭数も順調に伸びていったが、子牛の過放牧による市場価格の低下がみられた。そこで昭和45年ころから牧場または飼料圃に接した場所に多頭省力牛舎を導入し、子牛を畜舎に、親牛を里山に放牧し、夜は授乳させるシステムとし、これにより子牛の発育不良は無くなり、市場価格も上昇した。この背景には、畜舎に隣接した山林に放牧することが最も効率的であることが会員の一致した見解であり山地の交換分合を積極的に行った。 また、昭和50年代から増頭・規模拡大することに伴い、放牧場の拡大、整備が急務となり、補助事業を活用した牧野整備、草地改良と併せ、農家個々の牧野開発も行い、地域全体を取り囲んだ牧野となっている。 共同牧野の牧柵管理については、入牧前に入牧者全員による牧柵の定期的な点検・管理を行っている。非常に広範囲にわたる点検を行うため、労力を要するが、脱牧による牛の事故を防ぐために組合員の協力の基、相互扶助の精神で行っている。修繕費・鉱塩等に係る経費は各支部毎に異なるが、志屋地区(明ヶ谷牧野、ハシノツメ牧野、オトマリ牧野)では1頭・1日あたり20円、梨原地区(三成牧野)では入牧頭数5頭までで1万円/年、5頭増えるごとに1万円追加することとしている。 また、給水については湧水や雨水を活用できるため、とくに渇水による事故はおこっていない。 個人が所有する牧野については、会員の24名のうち、20名が所有しており、全体の面積は132.5haにのぼる。入牧期間は共同牧野と同様で5月上旬〜12月下旬であるが、中には周年放牧を行っている農家もある。放牧を全体でとらえると、温見地域の繁殖雌牛492頭に対し、共同牧野と個人牧野を合わせ295頭が常時放牧されていることから、放牧率は6割程度あり、林間放牧が肉用牛経営の主体となっている。 ○共同利用牧野の概要
○放牧場の位置図 C自給飼料確保への取り組み 振興会の最初の活動は、肉用牛多頭化に併せ、実取りトウモロコシから青刈りトウモロコシへの作物変更や空き地には牧草を植えるよう取り組んだ。肉用牛の主産地を目指す会員たちは借金を重ねながら、子牛を導入して増頭し、地域全体の飼養頭数を増やしてきた。 しかしながら、子牛の生産性向上のためには、栄養価の高い粗飼料確保が課題となり、放牧体系と併せ、効率的な飼料作付体系に取り組まざるを得なかった。そのため、温見地域の先進的な酪農家から先進的な自給飼料生産を学習し、効率的かつ低コスト生産をするため各地区毎による共同生産について検討を重ねた。 その結果、各地区ごとに自給飼料生産のための機械共同利用組合を設立し、国庫事業や県事業により飼料生産機械を導入し、一体的生産のできる体制を整えた。 飼料体系は主に夏はトウモロコシ、ソルゴー、スーダン、冬はイタリアンライグラスとし、収穫作業はイタリアンライグラスではロールベール体系で共同作業を行っている。 刈り取り、乾燥調整、集草、ロール、運搬と一連の作業を連携プレーにより行うため、非常にスピーディーである。 また、トウモロコシ、ソルゴー、スーダンはスタック方式によるサイレージ生産も盛んに行われており、同様に一連の作業を共同で行うことから非常に効率的に行われている。 ○温見地域における機械共同利用組合の概要
D家畜飼養管理技術の統一、向上 年間管理及び日常管理等については、県で統一している繁殖牛・子牛飼養管理マニュアルに順じて管理を行い、産地の銘柄化や出荷子牛の斉一性について取り組んでいる。 特に青年部を中心とした若手農家は、県の補助事業を上手く活用しながら1回/月程度、研修会・検討会を行っていたこともあり、育成技術や効率的生産の高い飼養管理技術を会得し、近隣農家の目標となっている。また、女性部では家畜市場後に反省会を実施しており、日々の子牛管理の研鑽に努めている。 最近では、若手農家が多頭化と省力化、効率性を重視したフリーバーン畜舎に移行しているため、群管理への移行や哺乳ロボットを導入する農家もある。 E積極的な育種改良事業への取り組み 血統的に統一された優秀牛を生産するため、昭和42年から育種改良事業に取り組んでいる。種雄牛の計画交配を始め、産子の検査、優秀子牛の地域内保留に努めている。 そのため、品評会は熱心に行われており、各集落毎による品評会とその上位品評会として温見地域品評会が行われ、勝ち残った種牛のみが朝地町品評会に出品できることとしており、市、県への出品は非常に長い道のりとなっている。 ○温見地域畜産振興協議会員から大分県畜産共進会出品実績
○受精卵移植実績(平成7年〜平成17年)
Fヘルパー活動による相互扶助活動 温見地域の肉用牛農家の平均年齢は平成2年には46.2才であったが、平成18年は55 才となり、高齢化の波は確実に押し寄せている。そのため、削蹄、除角の重労働作業については、個々の農家では出来なくなっている。 そのため、温見地域畜産振興会の若手メンバーが中心となり、平成8年に朝地町全体をカバーできる朝地町ヘルパー組合を設立した。組合員は相互扶助精神を発揮して、市場出荷準備として出荷子牛の削蹄作業、毛刈り作業、市場運送、市場引き出し、品評会準備の削蹄、繁殖雌牛の削蹄を実施している。 ○平成17年度ヘルパー活動の実績
G堆肥処理 地域内で生産された堆肥は全て自給飼料生産や特別栽培米生産のための堆肥として活用されている。堆肥生産は耕種農家に喜ばれるものにするため、切り返しを行いながら6ヶ月間の発酵を行い、散布作業は共同利用機械組合の機械を活用している。特に顕著な取り組みとして、温見地域に隣接する綿田集落の特別栽培米「綿田米(わただ米)」(竹田・岡藩の御膳米として重用された歴史を持つ)の有機堆肥としての供給や、隣町の野津原町の集落営農組合への供給、ワラとの交換を行っている (2)当該事例の活動目的と背景 標高500〜650mの準高冷地で広大な山林原野を有した急傾斜地が多い典型的な中山間地域において、昭和30年代貧しい農村が活性化するためには地域資源を最大限に活用した肉用牛と椎茸の複合経営を主体とした営農しか考えられなかった。 そのため、地域が一体となって林間放牧や共同作業による稲作、飼料作が手始めに行われたため、温見地域で最大に評価される地域における相互扶助精神が培われた。このことが地域活動の源となっており、優れた地域リーダーの育成・醸成を生んでいる。 牧野組合や共同作業機械組合の設立は、行政の押しつけではなく、地域性に基づき設立されており、すべての活動はここに終始している。 (3)活動の成果 (1)成果のまとめ @林間放牧による肉用牛生産産地の形成 標高500〜650mの標高で傾斜地ばかりという不利な土地条件において、椎茸原木となるクヌギ栽培の下草刈りさせるための林間放牧を積極的に行うことで、狭い畜舎面積での多頭化への取り組み、飼養管理の省力化や飼料費の低減を実践してきたことが、地域肉用牛生産産地としての形成に貢献している。 また、林間放牧により健康で多産性に富み足腰の強い牛をそろえることができたこと、椎茸との複合経営による省力化と所得向上が図られたことは評価が高い。 この結果、平成18年2月の肉用牛の飼養頭数は875頭(1戸あたりの飼養頭数は33.7 頭)で、平成2年と比較すると1.5倍(1戸あたりの飼養頭数は2.6倍)となっている。 ○温見地域肉用牛飼養頭数の推移
A日本一の椎茸生産地へ 通常、椎茸経営においてはクヌギの原木栽培の下刈りは非常に労力がかかるものであるが、温見地域での肉用牛繁殖と椎茸の複合経営では、牛の放牧による舌刈りをさせることにより、労力低減につながっている。また、原木林が常に清掃された状態にあることから原木は害虫の寄生がなく、家畜糞の還元により発育も良い。 そのため、椎茸栽培に係る管理作業に時間を掛けられることから、品質のよい椎茸生産が可能となっている。 第54回全国乾椎茸品評会(平成18年度)では、大分県が史上初となる8年連続の団体優勝を果たした。個人でも最 優秀の農林水産大臣賞を5部門のうち3部門で受賞している。1等賞の林野庁長官賞を13名受賞している。 この中で、温見地域から農林水産大臣賞を2名、林野庁長官賞を3名が受賞している。この輝かしい成績は、椎茸栽培への努力の賜であるが肉用牛繁殖経営との複合経営が功を奏している。 B里の駅 やすらぎ交差点(産地直売所・産地加工品供給施設)の設立へ 温見地域の集いの場・拠り所とも言える朝地小学校が少子化等により平成15年4月に閉校の計画が打ち出され、”このままでは地域が衰退する”という不安や危機感が住民の間に起こった。そこで、温見地域畜産振興会を中心とした地域住民が立ち上がり、なんとかこの地域を活性化ができないかと座談会・研修会を重ね、その結果、地域住民が利用でき集うことのできる場として、温見小学校に替わる新たな地域づくりの拠点として、「里の駅」を企画・運営をしていくことになった。 まず、温見地域畜産振興会員を中心とした肉用牛農家と林研グループ、各自治会代表が構成員となる運営母体の「やすらぎ交差点協議会」が平成15年1月に設立された。この組織は住民の共存意識を喚起し、地域の発展、地域づくり組織としての役割も大いに期待された。 こうして、朝地町、県の指導を受けながら、「新山村振興等農林業特別対策事業」により、都市との交流や地域産品の直販、地域食材を活用した料理の提供による地域活性化をねらいとした地域の中核施設「里の駅やすらぎ交差点」が平成15年6月6日にオープンした。 販売物は、子牛から肥育まで一貫生産された純地元産の豊後朝地牛、全国椎茸品評会では上位を独占する椎茸、隣の綿田集落産の特別栽培米「綿田米」を主役とした地域産品を中心に、この食材三品が競演した加工品に「よくばりコロッケ」がある。特に、豊後朝地牛やコロッケは県外からも買いにくる盛況ぶりである。また、料理については豊後朝地牛や椎茸を活用した定食、うどん、そばを提供しており、昼食時は観光客の休憩場所となっている。 このような食材を提供する出荷者協議会では、販売用農産物の確保や高品質生産をするための研修会・検討会を重ねており、新たな農産物の生産活動が芽生えたり、農村女性や高齢者が生産活動に積極的に取り組むようになり、楽しみや生き甲斐にも一役かっている。 里の駅やすらぎ交差点協議会では、地域の美化活動や環境作りのため、里の駅周辺や朝地小学校へのシャクナゲの植樹活動も行っており、住民全体が期待していた地域づくりの発信組織・交流拠点となっている。 オープンから2年間は赤字経営のため、協議会メンバーも非常に苦しい経営を強いられた。しかしながら、各種イベントや直売部門の出荷者検討会、レストラン部門の新商品開発や接客研修会、経営コンサルによる経営研究、マスコミ等を利用した里の駅の県内外への紹介等の会員自らの取り組みにより、平成17年度は黒字に転じ、来客数はオープンから現在まで10万人(レジカウント)を超えた。 ○里の駅 やすらぎ交差点協議会概要
○里の駅 やすらぎ交差点 主な平成17年度事業実績
C新たな社会貢献へ 「里の駅やすらぎ交差点」の活動により、地域産品を通じて地域は活性化してきたが、会員にさらに貢献していきたいとの向上心が芽生えてきた。ちょうどその頃、平成17年4月1日に「大分県食の安全・安心条例」が施行されたことから、小中学校を対象とした食育教育を通じて、地域貢献をしていこうとの機運が高まった。やすらぎ交差点の交流事業や学校教育の一環として生産者自らが先生となり、子供たちに温見地域や農業のすばらしさ、苦労、食べ物の大切さを伝えている。 D防災活動 温見地域では、防災活動が盛んであり、消防操法競技全国大会へ大分県の代表として過去に3度の出場を果たし、準優勝の経験もある。消防団メンバーのほとんどは温見地域畜産振興会の若手であり、機械共同利用組織やヘルパー組織等の交流から培われた信頼関係により一糸乱れない操法訓練となっている。練習は、早朝の飼養管理前と夕方の飼養管理後に行われ、特に大会前はほぼ毎日練習を行う。日々の飼養管理の合間に行うため、非常に忙しい日々を送っているが、地域維持・振興の一環として熱心に取り組んでいる。 |
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■労働力の構成 |
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■経営の実績・技術等の概要 |
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■土地の所有と利用状況 |
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■家畜の飼養・出荷状況 |
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■施設等の所有利用状況 |
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■経営実績を裏付ける取り組み内容等 |
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◇牛にも環境にもやさしい飼養管理 昭和52年に、牧場裏山を2ha造成し、自家労力でフリーバーン牛舎を計画的に増設していく。この時から牛にやさしい牛舎づくりとして、1頭当たりの面積を通常の3倍(35u/頭)近く確保することにより、牛へのストレスの軽減や広い空間での自然な暑熱対策にもつながる。また、1頭当たりの面積が広いことから、敷料(おが屑)も少ない量で経営的にもコスト低減が図られている。 ◇低コスト経営への強い信念 平成元年の消費税導入を期に、法人化を実施した。経営は、係数で確実に管理し分析をする必要あるとの強い信念のもとこれまで、確実な投資を実践している。 そのような中で、投資コストのかかるミルキングパーラー施設を移転当初よりオリジナルなアブレストパーラー方式で規模拡大後も、改善を加えたアブレストパーラーを増設し24頭の搾乳を可能とした。 また、現在の牛舎は、高台にあり搾乳時には100m程離れた下のアブレストパーラーまで朝・夕牛を移動させている。この時牛たちは、コンクリートで簡易舗装した通路を歩く。それにより通常年1〜2回行う削蹄を全く実施しなくてもよい。 成牛舎・育成牛舎においては、廃材や間伐材・建築用単管を活用して自己資金で可能な範囲の規模拡大を行っているが、特に、自分たちで造る事は、牛のことをはじめ飼養管理がわかっているからこそ的確で安い牛舎が造れている。簡易な施設であるため、後の改造も容易にできる利点もある。 ◇新しい酪農交流(ありのままの交流) 現在の県内の酪農経営体で、消費者に開かれた牧場は非常に少ない。当牧場は、消費者との交流として、町内の人たちとグリーンツーリズム研究会を発足させ農泊の指定も受け、牧場の入り口の転作田にコスモスを植え、各種交流会(年4回)やコスモス祭りとして牧場を開放して街部の消費者と毎年交流を図っている。将来の可能性を持った若者を平成13年度より日本法人協会の紹介を受け、インターンシップ研修生として受け入れ、地域の農業者や人々と連携をとって農業・畜産の意義や食育・人生観など、「人と人とのつながりや暖かい心を感じ取れるように」ありのままの姿を見てもらうことが大切だと考えている。 また、地域の野菜農家や園芸農家との交流は、堆肥を活用した地域循環型として深い交流を図っている。野菜農家等からの要望にあった良質堆肥を町内優先で販売し、2tトラック(4立方m)で1台2万円とかなり高値での販売を行っている。(全体の80%を販売) この良質堆肥は、大分県有機質資材生産者協議会に平成7年度に加入し定期的に成分分析や発芽試験等を行い、販売をしている。平成13年度には、この堆肥を利用したニラ農家が野菜経営コンクールで農林水産大臣賞を受賞した。 |
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■環境対策 |
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◇家畜排せつ物の処理・利用において特徴的な点 堆肥処理は、省力化を図れている。ふん尿の搬出は3ヶ月に2回程度で充分な状況である。 これは、牛舎の1頭当たりの施設面積が広い点や、風向きを考慮した牛舎設計で風通しもよい点が上げられ、敷料として戻し堆肥とおが屑を利用しており、おが屑の使用量が極めて少ないことも、低コスト経営につながっている。 また、大分県有機質資材生産者協議会にも加入し定期的な成分分析や発芽試験を実施している。この良質堆肥を利用して平成13年度には、近隣のニラ農家が野菜経営コンクールで農林水産大臣賞を受賞した実績も持っている。 牧場の入り口には、土地を無償で提供し近隣農家と直販所を設置し、我が家からは袋詰め堆肥と景観保全のために植えている金明孟宗竹のタケノコも販売している。 ◇家畜排せつ物の処理・利用における課題 堆肥の販売において、現在一時的に不足する状況が発生しており、農家に待ってもらう事が一つの課題である。また、野菜農家から袋詰めの要望があり検討としているが、バラでの販売で堆肥が足りない状況が現実であり、今後検討課題としたい。 ◇畜舎周辺の環境美化に関する取り組み 開かれた牧場として、牧場入り口の転作田に30a程のコスモスを植えて、グリーンツーリズム研究会で消費者との交流会も行っている。 また、20年ほど前より牧場の周囲に非常に珍しく綺麗な金明孟宗竹の竹林が、見事な景観を保ち、防風林としての役目も果たしている。 |
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■地域農業や地域社会との協調・融和のために取り組んでいる活動内容 |
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地域の活性化を目的に開かれた牧場として、イベントを開催し消費者との交流を図っている。 遊休地の活用も含め転作田にコスモスを6月と9月に2回植え、年々評判を呼び来場者が増加している。また、この時牧場を開放してコスモス祭り(消費者500人)をグリーンツーリズム研究会で開催している。また、研究会では、年に4回程トウモロコシ狩りや、炭焼き体験・コスモス植えなどを実施することで、農業・畜産の理解を深め消費拡大につながる努力をしている。 畜産への理解を深める活動として、地域の小学生や保育園児の牧場体験や日本法人協会のインターンシップ研修として大学生の受け入れを行い、牧場での家畜の世話や、近隣の野菜農家との交流や町内の人々との交流などにより、自分の人生を自ら積極的に生きていくことの素晴らしさや厳しさが身をもって体験できるよう努めている。 受け入れた7名の学生から、研修の後手紙を頂いたり、遊びにまた来たりする学生もでてくるほどの深く実のある交流を行っている。 地域との共存として、堆肥を有機質資材として野菜や園芸農家に販売供給する事で、地域循環型農業を実践している。堆肥の80%は、町内外に販売している。基本的には、地元優先で20軒程度の農家に収めており、価格的には高値であるが評判はよく、高いとの声は聞いていない。堆肥については、自信を持って販売している。 なかには、家庭菜園程度の野菜を作付けしていた人たちが、堆肥を利用してできた野菜が評判を呼び、土地を借り入れて直販所で販売をするほどの人もでてきた。 |
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■今後の目指す方向 |
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法人経営であるが、現状は家族経営となっている。当初は、外部からの雇用を行っていたが、ここ10年前から、三男が大学卒業と同時に就農し、3年前からは、次男がサラリーマンを辞めて就農したことにより、家族経営になっているため、規模の拡大が迫られている。 規模の拡大は、自家産牛を基本として更新し、自己資金で対応可能な拡大を図りつつ、経産牛常時飼養頭数で120頭規模を目指している。 現在、実施している各交流会は、将来的にも内容を充実させ畜産への理解を深めてもらうと共に、消費拡大への道も探りたい。農泊体験をより充実させるために修学旅行生の受け入れを予定している。 た、生乳の消費が伸び悩む中、自らが加工・販売することも模索している。特に兄弟で酪農という同じ路を選択した以上3人の知恵を結集して新しい経営スタイルを課題として掲げている。 |
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